とある会社の物語 第2話

皆さま、おはようございます。インターネット写真販売のふぉとすてっぷ、代表の嶋です。

ほんの思いつきで第1話を書いてしまったので、今日は第2話です。

とある会社の物語 第2話

社長と専務の間で、「軽減負担率」の適用科目について連日折衝が続いている。「続いていることになっている。」というほうが正確なのだが・・・。

社長と専務の折衝といっても、夕食時の夫婦のおしゃべりだ。従業員の立ち入ることができない密室協議だから、どんなことが話し合われたかはさほど重要ではない。それよりもどれだけ多くの時間を費やしたかのほうが大事なのである。

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「私、ちょっと気が重いのよね。今日も貴方がいない時にスタッフからエールを送られちゃったわ。」

「それはいいことじゃないか。みんなが君を信頼しているんだから。」

「軽減負担率、期待しています。頑張って社長を説得してください。って言われても、なんて返事をしたらいいものか。心が痛むわ。」

「なんで心が痛むんだ。従業員のためを思ってやっていることだろ。」

「だって、軽減負担率って言ったって、8%の据え置きでしょう。」

「おいおい、据え置きなんていう言葉、会社で言ったらダメだぞ。何が何でも軽減と言うんだ。」

「5%とか0%になると期待している人もいるわよ。」

「いいか。ボクは一度だって5%とか、ましてや0%なんて言ったことはないぞ。」

「知っているわよ。でも8%とも言っていないでしょ。」

「そうさ。数字を言ったことはないよ。軽減というのがミソで負担率は8%なんだ。そう決まっているんだ。疑う余地はないんだ。」

「そこが心が痛むのよ。」

「いろいろ考えすぎるからいけないんだよ。物事はシンプルに。そう、シンプルイズベストさ。いいかい、こういうことだ。このままでは会社が立ちゆかない。だから消費負担率を10%にしたいとお願いした。けれども皆の反対も強かったのでひとまず8%で折り合ったんだ。そして10%にする時には君が提案した軽減負担率を導入することも約束した。ほら、約束通りに進んでいるじゃないか。何もおかしくない。」

「でも8%じゃ軽減じゃないでしょ。」

「君も頭が悪いな。10%になるはずのものが8%で済むのだから2%の軽減じゃないか。」

「何か、ごまかしているみたいで嫌だわ。」

「君、そんなことで会社の経営に責任が持てると思うのか。頼りないと思われたら負けだよ。従業員は強いリーダーを求めているのさ。自信満々に短い言葉でスパッと言い切る。それが大事なんだ。いいかい。ボクが言うことはいつもシンプルだよ。会社の未来のために協力して欲しい。軽減負担率をできるだけ多くの科目に適用したいが、そのためには財源が必要だ。財源もないのに無責任な決定はできない!。どうだ、わかりやすくていいだろ。」

「わかったわ。会社の福利厚生制度を維持するためには消費負担率10%が必要だということに立ち返ればいいのね。」

「ダメだ、ダメだ。本当に困ったものだな。会社の福利厚生制度を維持するためという説明は、消費負担率を8%にするときに散々したじゃないか。そこにわざわざ戻ることはないし、今更あらためて言わなくてもいいんだよ。今言うことは、財源がない。会社が立ちゆかない。協力して欲しい。それだけだ。何の為かなんて話はもう済んだことなのさ。それでもどうしても軽減負担率の適用科目にこだわるなら福利厚生制度の予算を削るまでだ。」

「それじゃあ、あまりに夢がないわ。みんながっかりしちゃう。」

「確かに、それは君の言うとおりかもしれないね。もう少し前向きなキャッチコピーを考えたほうがいいな。何かいい言葉はないかな。そうだ、取り戻す!取り戻すがいいじゃないか。会社の未来を取り戻す!従業員の幸せを取り戻す!これはいいね。シンプルで前向きだ。きっと従業員も気に入ってくれるはずだ。」