皆さま、おはようございます。インターネット写真販売のふぉとすてっぷ、代表の嶋です。
財務省近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の手記の続きです。
(1)国会対応
平成29年2月以降ほとんど連日のように衆・参議院予算委員会等で、本件事案について主に野党議員から追及(質問)されます。世間を騒がせ、今も頻繁に取り上げられる佐川(前)理財局長が一貫して「面談交渉記録(の文書)は廃棄した」などの答弁が国民に違和感を与え、野党の追及が収まらないことの原因の一つとなっています。
一般的に、行政上の記録を応接記録として作成された文書の保存期間は、文書管理規則上1年未満とされていますので、その点において違法性はないと思いますが、実際には執務参考資料として保管されているのが一般的です。
この資料(応接記録)を文書管理規則に従って、終始「廃棄した」との説明(答弁)は財務省が判断したことです。その理由は、応接記録は細かい内容が記されていますので、財務省が学園に特別の厚遇を図ったと思われる、あるいはそのように誤解を与えることを避けるために、当時の佐川局長が判断したものと思われます。
(2)国会議員への説明
本件事案に関して、野党議員を中心に財務省に対して、様々な資料を要求されます。
本省は、本件事案が取り上げられた当初の平成29年3月の時点では、全ての資料を議員に示して事実を説明するという姿勢であったのです。
ところが、(当時の)佐川理財局長の指示により、野党議員からの様々な追求を避けるために原則として資料はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りとするよう指示があったと聞いています。(現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできませんが、本省(国有財産審理室)の補佐からは局長に怒られたとよく言っていました)
また、野党に資料を提出する前には、国会対応のために必ず与党(自民党)に事前に説明(本省では「与党レク」と呼称)した上で、与党の了承を得た後に提出するというルールにより対応されていました(本省補佐、近畿財務局管財部長などの話)。
(3)会計検査院への対応
国会(参議院)の要請を受けて、近畿財務局が本件事案に関して会計検査院の特別検査を、昨年平成29年4月と6月の2回受検しました。
受検時には、佐川理財局長の指示を受け、本省理財局から幹部職員(田村国有財産審理室長、国有財産業務課補佐ほか、企画課係長)が派遣され、検査会場に同席し、近畿財務局からの脱明を本省幹部職員が補足する対応がとられました。
その際、本省の検査院への対応の基本姿勢は、次のとおりです。
①決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料(2~3分冊のドッチファイルを持参)の範囲内のみで説明する
②現実問題として、上記①のみでは検査院からの質問等に説明(対応)できないとして、田村審理室長が近畿財務局に保管されている決裁文書等を使用して説明することはやむを得ないと判断して、①の対応が修正された
③応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示がありました(誰から誰に指示がされたかは不明確ですが、近畿財務局が作成した回答案のチェックを本省内関係課で分担され、その際資料は提示しないとの基本姿勢が取られていました)
(注)この時、法律相談の記録等の内部検討資料が保管されていることは、近畿財務局の文書所管課等(統括法務監査官、訟務課、統括国有財産管理官(1))の全ての責任者(統括法務監査官、訟務課長、統括国有財産管理官)は承知していました。
したがって、平成30年2月の国会(衆・予算委員等)で、財務省が新たに議員に開示した行政文書の存在について、麻生財務大臣や、太田理財局長の説明「行政文書の開示請求の中で、改めて近畿財務局で確認したところ、法律相談に関する文書の存在が確認された」(答弁)は、明らかに虚偽答弁なのです。
さらに、新聞紙上に掲載された本年1月以降に新たに発覚したとして開示した「省内で法的に論点を検討した新文書」について、本年2月19日の衆院予算委員会で、太田理財局長が「当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気付く状況に至らなかった。法務担当に聞いていれば(文書の存在)に気付いていたはずだ」との答弁も全くの虚偽である。
それは、検査の際、この文書の存在は法務担当に聞かなくても、法務担当以外の訟務課・統括国有財産管理官は作成されていることを当然認識しています。これも近畿財務局は本省主導で資料として提示しないとの基本的な対応の指示に従っただけなのです。
また、本省にも報告され保管されていることは、上記2に記載している本省と財務局との情報共有の基本ルールから明らかです。
(4)財務省の虚偽答弁
本省が虚偽の答弁を繰り返していることを再掲しますと、上記(1)国会対応、(2)国会議員、(3)会計検査院への対応の全ては、本省で基本的な対応のスタンスが決められました。
特に、(3)では、本省から(近畿)財務局に以下の対応の指示がありました。
●資料は最小限とする
●できるだけ資料を示さない
●検査院には法律相談関係の検討資料は「ない」と説明する
この事案の対応で、先の国会で連日のように取り上げられた佐川(当時)理財局長の国会答弁の内容と整合性を図るよう、佐川局長や局長の意向を受けた本省幹部(理財局次長、総務課長、国有財産企画課長など)による基本的な対応姿勢が全てを物語っています。
“(疑問)
財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか。
当初、佐川理財局長の答弁がどこまでダメージコントロールを意識して対応されていたかといえば、当面の国会対応を凌ぐことだけしか念頭になかったのは明らかです。”
(つづく)